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在日トルコ人の方と話に花が咲く

  • 執筆者の写真: 髙野
    髙野
  • 2018年3月24日
  • 読了時間: 7分

晴天とまではいきませんが、桜の開花時期であることと天気が穏やかであったので、元荒川堤を散歩してきました。


今年は開花が例年よりも早いと聞いていましたが、元荒川堤の桜はまだまだ蕾が殆どでした。


それでも、比較的暖かで穏やかな天気の下、土手沿いをのんびりと散歩をするのは気分転換にはとても良いですね。


さて、毎年この時期になると、元荒川堤では花見に合わせて露店が登場してきます。お祭りの露店の定番といえば、金魚すくい、スーパーボールすくい、お好み焼き屋、綿菓子屋等々がありますね。


そんな定番露店に交じる形で今回私の目を引いたのは、トルコアイスとケバブ屋さんでした。


食は何でもござれな人間でありますが、ケバブは大好きなものの一つ。


これは一度食さねばならないと考え、ケバブを一つ注文しました。


その際、以下のような話のやり取りをしました。


トルコ人の方(以下、Tさん)「何歳?」


私「36歳です」


連れ「2○歳です」


Tさん「結婚しているの?」


私「まだです」


Tさん「何で? 早く結婚しちゃえばいいよ。私、奥さん3人いるよ」


私&連れ「まじですか(3人って、すごいな、やっぱりトルコは世俗とは言え、イスラームの国だから、一夫多妻なんだな)」


Tさん「一人目、ロシア人、二人目、アゼルバイジャン人、三人目、日本人ね。子どもも娘が三人いるよ」


私「そうなんですね。今は日本にずっと住まわれているんですか?」


Tさん「そうだね。イスタンブールに住んでいて、でも、以前は(奥さんに合わせて)ロシア、アゼルバイジャンなどに住んでいたよ。もう日本の後はイスタンブールに戻るだけ」


私「イスタンブール良いですよね。ずっと旅行に行きたいと思っていて、行けていないんです」


Tさん「イスタンブールおいでよ。とっても良い所だよ」


私「是非。ですが、イスタンブールではテロはどうなっていますか」


Tさん「全然安心だよ。トルコは広いからね。端から端まで2,000キロあるよ。上から下まで1,500キロある。日本みたいに狭くないよ。だから、テロが起きる所から離れているから大丈夫」


私「そうなんですね」


Tさん「それに、トルコは軍が頑張っているよ。ここ二ヶ月だって、テロリストを5,000人ぐらい殺しているよ。戦いでトルコの軍の人も100人殺されているけどね。私も軍隊に5年間いたよ。だから、酒もタバコもやらない。身体も若いよ」


実際、Tさんは50歳近いとのことだが、見た目が若い。


Tさん「トルコ軍は日本とは違ってアメリカから独立した軍隊だからね。北朝鮮がああやって(核実験とかして)騒いでいるでしょ。日本はこう(萎縮したポーズ)なって、アメリカ(在日米軍)に守られて大丈夫とか言っているね。なんでああするの? 日本はアメリカの奴隷みたいなものだよね。トルコは違うよ(自分達の意思を持ってる)」


この点は大学の学部・大学院時代から国際関係学をかじってきた身として補足をします。


欧米人を除いた外国の方、特に中東系の人々に、日本はアメリカの言いなりという目線を持つ人に出会うことは比較的にあります。


嫌らしい言い方になりますが、日本は戦後にGHQの占領政策以後、徹底して親米世論を形成する文化政策が取られてきました。これをアメリカナイズ(Americanize、アメリカ化する)と呼ぶこともありますし、国際関係学の権威であるハーバード大学のジョセフ・ナイ教授の言葉を借りれば、ソフトパワー戦略(文化等の影響力を用いて相手国から信頼・支持・共感を得ること)と言います。


この具体例として、パン食、コーラ、マクドナルド、ケンタッキー、ジーンズ、ハリウッド映画等が挙げられます。これらは日本ではもうありふれたものとなっていますが、実はアメリカによるソフトパワー戦略の結果であるとも言えるのです。


この政策によって、日本の国民世論でアメリカを批判的に見る人々は少数となりました。むしろ中国とアメリカであれば、後者に親近感を持つ人々は多いでしょう。さらに、大抵日本人で外国を意識すると出すのはアメリカです(最近は多様化しつつありますが)。


ところが、中東地域ではこうした発想にはならないんですね。中東地域には確かに親米国は存在します。例えば、アラブの盟主と呼ばれるサウジアラビア、エジプトといった国は親米です(トルコも親米に入りますが、是々非々の立場に近い)。ただし、これはあくまで国のトップ層が国益を鑑みて親米なだけであり、一般国民層までが完全に親米ではありません。そもそも、中東地域で勃発している問題の歴史的発生源を作ってきたのは欧米ですから(これがわからない人は世界史の現代史を学び直しましょう)。


そのため、自国内に米軍が駐留することを嫌う向きがあります。また、そうした見解を持つ人々から見れば、日本はどうして自国の軍隊がいるのに、あれだけ米軍を駐留させて、しかも言いなりになっているんだと考えることもあるわけです。


今回のTさんの発言は、こうした意識があることを示唆しています。


私「それだけ頑張っているなら、旅行に行っても安全そうですね」


Tさん「大丈夫だよ。良い所たくさんあるからね、ほんと来てね。それに、イスタンブールは日本人沢山いるよ。住んでいる人もいる」


私「へ〜そんなに多いんですか。部屋を借りるとどれぐらいですか?」


Tさん「家のお金安いよ。10万も出せば、イスタンブールの中心でも4部屋はある所を借りられるよ。それも、簡単に貸してくれる。日本は大変。私は税金払ってるし、永住権も持ってるのに部屋を貸してくれなかった。奥さんが日本人だから、奥さんの名前で貸してもらったよ。貸してもらったら、色々で借りるためのお金(敷金・礼金・家賃・その他諸費用)かかる」


私「日本はその点遅れてますよね」


Tさん「イスタンブールでは、10万払う。家借りるで終わる。電気や水道はカード式。カードにお金入れて(Suicaと原理は同じ)、それを電気や水道のカードを差し込む所に差せば、すぐに使えるよ。日本は大変。電気(屋)さん、水道(屋)さん、色々手続き必要ね」


私「それは便利ですね」


Tさん「日本は発展してて、テクノロジーもすごいのに、それ出来ないね。遅れてる」


私「それを聞くとそうですね」


Tさん「仕事もし易いよ。日本人がイスタンブールで働くと、日本にいる時と給料変わらないよ。こっち(日本)で(月)30万なら、向こう(イスタンブール)でも30万だよ。それに、イスタンブールはヨーロッパと繋がっているから、沢山人も物もあるね。だから、仕事しても稼げるよ。水あるでしょ?」


私「はい」


Tさん「日本ではわざわざスーパー入って並んで買うね。イスタンブールは道(通り)で売ってるね。みんなそれを買うの。人が沢山いるから、水を売るだけで一日10万になることもある」


私&連れ「そんな稼げるんですか!?」


Tさん「稼げるよ。人多いもの。通りはフリーね。好きに仕事できる。日本はダメね。色々厳しい。仕事していて思うけど、日本は決まり決まりで人の首を締め付けてくるような感じね」


この点はかなりTさんに同意をする部分で、日本は規制が多過ぎると思います。それが秩序を生んでいる部分もありますが、一方で自分達の発展を阻害している点は否めません。良い意味での昔の大らかな文化が失われていると私は感じています。


Tさん「今、インプラントやっているね。トルコは一本20万でやるの。それも一日で終わるよ。日本は一本40万かかるね。それでいて、3ヶ月かかってようやくよ。一回の治療が短いね。それで次の治療は1ヶ月後とかね。トルコは次の治療は翌日来て(と言われる)よ。(医療)技術も発展してるよ、トルコは」


インプラントが日本では三ヶ月かかるという点は、手術(これは日本でも1日)に加えてインプラントを行った歯と骨の結着が終わるまで定期的に消毒の通院が必要となるため、それを指していると思われます。そして、消毒だけであれば確かに一回の治療は短いはずです。


ただ、物価の違いを考慮すれば、費用が安いのは事実だと思われますし、医療技術も相応に発展しているでしょう。


Tさん「バスあるでしょ。イスタンブールは端から端まで広いのね。だけど、一回50円よ。メトロ(鉄道)も同じくらいね」


私「それは安い」


Tさん「日本は高いね。隣の駅に行くのに140円かかる」


個人的な経験を元にすると、一回50円は台湾の地下鉄と同水準です。日本の公共交通機関の料金は高いです。


…と、このような会話を時間にして30分程している途中で、他にケバブを買い求めに来た他のお客さんがいらしたので、私と連れはケバブを美味しく頂き、散歩を再開しました。


正直ここまでトルコからいらした方と話をする機会はなかったので、今回、偶々ですが話を伺う機会を持てたことは大変に有意義でした。


特に、海外から来られた方々はまた日本人と異なった視点を持たれているので、視点の違いが大変に興味深いものです。


Tさん、ありがとうございました。


また美味しいケバブと、今回は食べなかったトルコアイスを食べに行きます。







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